日記

蒼子の日記です。フォームのお返事もこちらです。
  ◇ 手首の人格    2007-12-01- Sat.
ゲンマ×ハヤテ突発SS

※ちょっと痛いかも、ご注意



師走に入り喧騒を増す木の葉の商店街で不知火ゲンマは月光ハヤテのいつもの病的な姿を見かけた。
まだ今夜は任務があり、火影屋敷で残業もしなくてはならなかったが当然ゲンマはハヤテに声をかける。
しかし、ハヤテは他ならぬゲンマに気づく風でもなく、そのまま商店街の人込の中をふらふらと浮遊するが如く歩き去っていく。
その姿にゲンマは思わず舌打ちする。

チ!又かよ!

と。


***


「で、今度はドコが悪いんだよ?」

「笑っちゃうのですが何故か肺炎だと言われました。いや、一気に熱が39度まで上がったものでこれはオカシイと思ったのですが・・ゴホゴホ」

「肺炎〜〜〜〜?お前、今は自宅待機だろ?なぁーーんにも任務は入ってないお気楽なご身分の筈なのになんで肺炎なんかになるんだよ?」

「はぁ・・・それが私にもさっぱりわかりませんで・・・病院と郵便局と図書館ぐらいにか出かける所もない筈なのですが・・???」

「病院行って肺炎になるなんて本末転倒もいい所だな。で、今は?」

「はぁ・・・抗生物質と点滴が効いてますので一応37度まで熱は落ちてます。処置が早かったので入院はしなくてもいいそうですが安静を命じられました」

「ふーーん、そっか」

それからゲンマは話すこともなくなったので黙り込む。
残業が終わってからハヤテの家に押しかけてみたが、案の定ハヤテは臥せっていた。
だが、それがどうどいうこともない。
ハヤテが臥せっているのはいつのものことだ。
別に珍しいことでもなんでもない。
だが、すぐに帰るのもなんとなく気がひける。
しかし、別に抱けるわけでもないのに此処に居つづけるのもあまり意味はない。
(そんなコトを考えている時点で既に自分はサイテーだということもわかっている)
だが、そんな居心地の悪そうなゲンマの様子に逆に助け舟を出してくれたのがハヤテだった。
ハヤテはなんとも珍しくゲンマに「もうちょっと側にいて下さい」なんて珍しく心細そうな笑顔を見せ甘えてきたのだ。
どうせこの男のこんなしおらしい態度も全部演技なんだろうが、ゲンマは大人しくハヤテの布団の横に胡座をかいて座った。

「ねえ、ゲンマさん・・・先日読むものを探して図書館に行ってきたのですけど、面白いことが本に書いてありました。リストカット、ってのありますでしょう?ほら、自分で自分の手首を斬ってしまう人達のことです」

「ああ、そういう人種も居るらしいな。俺には理解できないけどな」

「私には少しわかる気もしますよ・・・・・ほら、具合の悪い時や、苦しい時や、痛い時や、辛い時って逆に何故か生きていることを強烈に実感できるんですよね。ああ、辛いなあーーでも、生きてるなーーーって思えるんですよね」

「さっぱりわからん」

「まあ、それでも私もわざわざ手首を斬る人の気持まではわからなかったんですけどね。最近自傷の研究者の間では何故彼らが手首を斬るのかという原因を 『手首の人格化』 にあるのではないかという仮説が有力なんだそうです。それを読んでなんとなくわかったというか・・・」

「手首の人格化?なんだそりゃ?」

「自分の嫌な部分を手首に仮託してそこを傷つけ攻撃してるんですよ。つまり手首が『もう一人の自分』なんです」

「やっぱりわかんねえな。自分はいつもこの世に一人きりだろ?」

「ふふふ・・・そうですね。でも、じゃあ私の場合、ドコを人格化すればいいのだろう?とふと考えたんです。心臓も悪い、肺も悪い、肝臓も悪い、腸も悪い、免疫系統はグチャクチャ、血管はボロボロ、ドコを人格化して攻撃すればいいんえしょうねえ?」

「・・・・・・・・・お前の人格はお前のその身体の中になんかねえよ」

「え?!」


流石のゲンマの意外な科白にハヤテは青い顔を上げて驚く。


「お前の『精神』はいつもお前の身体の5メートル後ろか、5メートル前を歩いてる。それならまだいい方で、たいていあちこちにうろうろと漂ってやがる。3時間前も見たぜ。魚屋の前をふらふら歩いてた」

「・・・・・ドッペルゲンガーですかね?・・・お魚は別に食べたくないのですけど・・・・」

「その若さで『三日月の舞』をマスターしちまったのだから前々からその傾向はあったんだろうけどよ。別に困らないんじゃねえか?お前の場合、魂が身体の中になくってもサ」


そのゲンマの科白にハヤテはめずらしく声を上げ、アハハハと大きく大爆笑した。


「・・・・・そうですね。そんなに困らないかも。・・・でも、あなたは困りませんか?ゲンマさん。そんな空っぽの俺の身体を抱いても楽しくないのでは?」


それからハヤテはゲンマの手をとってあっさりと布団の中に引き込むものだからゲンマは苦笑いする。

「誘ってんの?」

「知ってますでしょう?こういう時ってなぜか俺、すごく感じるんです・・・」

「お前違う意味でビョーキじゃないか?」


せっかくのお誘いなのでゲンマは早速布団を剥いで熱っぽくも乾いたハヤテの身体を押し開き始めた。

ぜーぜーと肺が軋むような音をたてる、こんな身体に欲情できる自分も似たりよったりだなと思いながら。

いつもすぐセックスだけに夢中になってしまうからいつも言い忘れるのだけど、この男が死ぬ前に一度くらいは言っておいた方がいいかなと思っていることもある。


お前が死んだらもう生きていけない、


とか、ね。




the end
16:14 * SSS * TB(-) * CM(-) * Top↑
  ◇ ブラックバレンタイン    2007-02-14- Wed.
戦場、

まさしくそう表現して差し支えないだろう、2月13日の木の葉デパート地下の特設バレンタインチョコレート売り場は、その『男』の登場と共にシーーンと水を打ったように静まり返った。
誰もが息を飲んで見守る中、店のBGMとして流れる懐かしの『バレンタインディキッス』だけが能天気な甘い声で恋だの愛だのを唄っている。


「あのーー、予約していた『はたけ』ですが・・・・例のチョコレートを・・・」

「は、はたけ様?は、はい!はたけ様でございますね・・・ええと、はたけカカシ様、ご予約はバレンタイン特別限定10個生産スペシャルデラックス「一口食べればもうアナタにメロメロのフォリーンラブ」チョコレート、をご予約頂きましてありがとうございます」


忙しさにキレ気味だった30代後半のたぶん普段はチョコレート会社の本社の営業でもしているのだろう正社員風の女子店員が唖然と開いていた口を閉じて慌ててカカシの対応に当る。
会社の教育がいいためか、はたまたこれがお菓子会社の一番の稼ぎ時、勝負どころと心得ている為か、『男』であるカカシにも慇懃な態度を崩さず、表面上は完璧な対応で巨大なチョコレートの箱にリボンをかけていく。
だが、周囲のうら若き女性客はチョコレートを購入にきたカカシに興味津々、横目でチラチラとカカシを観察するもの、クスクスと忍び笑いするもの、何故だが異様に目を輝かせて興奮している者(きっと腐女子だ)と様様だった。
彼女達の反応が好奇心いっぱいなのも無理はない。
なにせカカシが購入したチョコレートはこの国で一番高価なチョコレート、なんと一個1万両という超が10コはつく本当の超超超超・・・(以下略)高級チョコレートだからだ。
原料は勿論最高品質、カカオ豆からして児童労働が問題になっているカカオ農場でなんと児童労働を一切させていないというフェアトレードプランテーションで栽培されたものを使い、ミルクを絞った牛さんすらも無農薬で育てられている。
その上で更に仏国の超一流のショコラティエによってこの日のためだけにその持てる技量の全てを注がれてデコレイトされたチョコレートはまさしく宝石と同等、いやそれ以上の価値を持つほとんど『芸術品』である。


「大変お待たせしました。ありがとうございました。はたけ様」


店員は実にシックな趣味のよい完璧な包装と紙袋をカカシに差し出し、ひきかえに一万両札を受け取った。
彼女はにっこりと笑っているが、今晩家に帰ったら自分の旦那と子どもに、
「ねえねえ、今日おかーさん、男の人にチョコレート売っちゃった♪」
なんぞと報告するに違いないとカカシは確信している。
(今時男がチョコレートを買ったって珍しくもねーだろうが!)
が、カカシがチョコレート売り場から踵をかえすと売り場はその騒然さを取り戻し、思わぬ珍客のことはすでに忘却の彼方のようである。
カカシはその様子にホ、と、思わず安堵のため息をついた。
よっぽど女体変化してこのチョコレートを買いにこようか、とギリギリまで悩んだものだが、この国一番高いチョコレートを買える人間は木の葉でも一握りにすぎない。
女体変化して買ったとしても、それがカカシであるということは後ですぐにバレるだろう。
それならば最初から堂々と購入した方が早いと思ったのだ。
だいたい、カカシの意中の人、この馬鹿高いチョコレートを贈ろうとしている片思いのあの人はそういう小手先の愚策が通用する人ではない。


「あああ、もぉーー。俺が忍者ですらなかったら、こっそりと、しかし、熱烈な愛のこもった手作りチョコレートをイルカ先生にプレゼントするんだけどなー」


勿論その中には上忍としての薬学知識の粋をつくして媚薬という媚薬をこれでもか、と盛るつもりだったが、同じことを考える輩は多いらしく木の葉の里では「贈るチョコレートは必ず既製品にすること。手作りはご法度」という御触れが出てしまったのである。
仕方なく、カカシも今年のイルカへのチョコレートは既製品を選ぶしかなかった。
せめて木の葉一高いチョコレートをしてイルカの気をひこうと考えたのはカカシの切ない男ゴコロである。


「ああ、イルカ先生!この高ーーーーいチョコになびいて今年こそ俺とエッチしてくれないかなあーー」


生徒のくれるチョコはあんなに嬉しそうな顔して全部貰って挙句にホワイトデーにお返しもちゃんとするのに、カカシのチョコにはすげないイルカを思い出しカカシは思わず涙ぐむ。
昨年贈ったトラック一杯分のチョコレートはその場でチョコフォンデユにされてその鍋の中にカカシは放りこまされた挙句に放置されたし、一昨年贈った1/1スケール等身大チョコレートカカシ人形(ある一部分はチョコレートバーに加工)はその場でイルカにクナイで首チョンパされてしまった。
まあ、ここ2年のカカシのチョコは奇をてらいすぎた感はある。
今年はスタンダードに決めようと考えたカカシである。
(いや、そもそもの根本的敗因はソコではないのだが)
ともかくも明日の決戦は水曜日、今年こそうまくいきますように!とカカシは何と慰霊碑のオビトにまで願かけにお祈りし(オビトも迷惑だ)ついでに木の葉神社にチョコを一端お供えしてご利益をつけてもらってから自分の部屋に持ち帰ったのだった。


***


そして、決戦の2月14日がやってきた。
いつも通り任務を終え、ずっとポーチに携帯していたチョコレートの包みを手で確認しつつ、受付所へと急ぐ。
受付所には勿論愛しいイルカが居る。
今年こそイルカはチョコを受け取ってくれるだろうか?
そう考えるだけで胸がドキドキしてくるカカシはやっぱり乙女座であった。
そんなカカシが入っていった受付所は今日も人だかりだった。
イルカはいつも通りににこやかに任務にあたっているが、既に何人かのくのいちから貰ったのだろうチョコレートの包みがイルカの背後の椅子に数個置かれている。
カカシは心臓の鼓動を高ぶらせながらイルカの列に並んだ。
そして、自分の任務報告書を出すと同時に、


「あの・・・イルカ先生、コレ、もらってくれます?」

「あ?カカシ先生?え、よろしいんですか?これ、チョコレートですよね?」

「はい。あの一応メアリーカンパニーの一番高いヤツなんですけど・・・」

「ええええ!?もしかして一個一万両の火の国で一番高いチョコレートですか?!!」

「え?ご存知でしたか?」

「ええ、テレビで見ました。うわーーー!すごーーい!ありがとうございます!俺、一度食べてみたかったんです!」

「え?ええ?そ、そうだったんですか?」


意外なことに、イルカは大層喜んでカカシのチョコをあっさりと受け取ってくれたではないか。
やはりイルカはスタンダードな贈り物を喜ぶタイプだったのか?
それとも案外高級志向だったのか?


「実は・・・俺も今日はカカシ先生にチョコを用意していたんですよ」


しかも、何とイルカの方もカカシにチョコがあるというではないか!

そしてイルカは後ろの席にあった自分のポーチの中からそれなりに立派な箱を取り出した。
なんとそれはカカシの買ったチョコと同じメーカー、メアリーカムパニーの高級品だ。
カカシの買ったものほど超高価ではないが、『本命』チョコの一つとして有名な品である。
イルカはにっこりと笑いながら、そのピンクのリボンのかかったチョコをカカシに手わたす。
カカシはあまりの僥倖に暫く言葉もなく感動し、「ありがとう」の一言すらすぐに出てこなかった。



「いやあ、でも、こんな高いチョコレートを頂いてしまって俺のチョコ程度じゃとてもお返しにはなりませんよね。どうですか、カカシ先生、今度俺と一緒にラーメンでも」

「え?!ええっ!行きます!一緒にラーメン!!」

「では、今夜にでもどうですか?俺の上がりは6時半ですが・・」

「待ってます!勿論待ってます!!」

「そうですか?では申し訳ないですが、あと1時間ほど待っていただいて一緒にラーメンを食べにいきましょう」

「は、はい!嬉しいです!」

「ふふふ。俺もです。では今夜。・・・・はい、次の方どうぞ〜〜」


ど、どうしたことだろう!
イルカの態度は昨年と一昨年のつれなさとは比較にならないほどの好感触だ!
やはり高級チョコレートの力なのか?
いや、今年はイルカ先生からももらっちゃったよ!
ど、どうしよう!俺達ってやっぱり両思い?きゃああああーー!
そしてカカシはるんるんとスキップしながら受付所から出ていく。
入ってきた時と面白いくらいに正反対な姿だった。

そして、その後ろ姿を見送りつつこちらも笑っている受付の中忍が一人。


「ふふふふ・・・・カカシ先生、『バレンタイン特別限定10個生産スペシャルデラックス「一口食べればもうアナタにメロメロのフォリーンラブ」チョコレート』を買ってくれたのか。有り難い有り難い、こりゃいい宣伝になる・・・」



そして、すかさずイルカは自分の携帯をチェック。

イルカが見ていたサイトは『火の国株式市場上場第一部』。

それからイルカは素早くケータイを操作し、自分のメアリーカムパニーーの株を全部売る手続きをとった。

そう、実はイルカはチョコレート会社の株主だったのである。

(もちろんカカシに贈ったチョコも株主配当の品である)

以前からイルカは別にカカシのことはきらいではなかったのだが、カカシの選ぶチョコレートの趣味のあまりの悪さに頭に来ていたのである。




「ふふふふ。今年も儲けた、ああ、俺バレンタインデーって本当大好きだ!」

「ああ?イルカ?何ひとりごと言ってるんだ?こっち手伝ってくれよ」

「ああ、いいよ」



そして上機嫌のイルカは同僚の仕事を手伝い始めるのであった。

メアリーカムパニーのチョコさえ使ってくれるなら、今夜カカシがチョコプレイしたいと言ってもオッケーしちゃうよ♪なんて考えながら。





the end



23:13 * SSS * TB(-) * CM(-) * Top↑
  ◇ ベットマニア    2007-01-30- Tue.



「これはこれは!はたけ様!毎度ありがとうございます!本日のご入用はいかがな品でございましょうか?」

「んんーーー、ゴメンねえ〜。また来ちゃったぁー。欲しいのはベットなのヨ。ベット!」

「はあ?又ベットでございますか?・・・ええと、確かこの前ご購入いただきましたのはつい一月ほど前のことだと記憶しておりますが・・・」

「そーなのヨ。一月前にここで買ったベット、もう壊れちゃったんだよネ?ちょっと何とかしてくんないかなぁー。一月で壊れるなんて不良品だったんじゃないのおー?仕方ないから今回もこの店で買うけどサ。当然ちょっと勉強してくれるよねええーー??」

「そ、それはもう!申し訳ございませんでした。今度こそお客様のご要望通りの丈夫で長持ちするベットを格安でご提供させて頂きます!」


そう、はたけカカシが今日も訪れた店は家具店であった。
その売り場面積は国内最大規模木の葉ドームの30倍という巨大なショールームを誇る大●家具(笑)である。
特にこの火の国銀座にある支店はもはや芸術品ともいえる世界でも最高品質の高級家具を取り揃え、顧客には大名もいるというエリート層御用達の格式の高い店でもある。
無論火の国の主婦にとってはこの店で家具を揃えることは人生における最高の夢である。
その●塚家具にここ数年足げく通ってくるのが木の葉の高級取りの上忍の一人、はたけカカシであった。
しかし、どういう訳かカカシが購入する家具はベットばかりである。
大●家具に勤めて22年、ベテランの販売員である店員も何故カカシが年に数回もベットばかり購入するのか不思議に思わなくもなかった。
ベットなんて家具はいいものを生涯に一度、もしくは二度買うのが普通の人間にとっては精々なところである。
しかし、カカシは店員が最初のベットを売ってからこの三年に10台のベットを寝潰して、いや破壊しているらしい。
一体全体どんな寝方をしているのか疑問に思わなくもないが、この不景気に高級家具なんぞほとんど売れない。
カカシは自分のノルマを達成し、スズメの涙ほどでも一応はボーナスを与えてくれる貴重な有り難ーーーい顧客である。
だから店員はカカシが欲しいというのなら地の果てまで出張し、どんなベットでも取り揃える気合をもって挑んでいた。
それこそいにしえの中国の皇帝が使いそうな螺鈿と翡翠の細工の総漆ベットから、人魚姫の眠りそうな大きな真珠貝のベットまでカカシが欲しいというのなら何でも売るつもりである。


「今回はどのようなお品にいたしましょうか?この前のはフランス製の華麗で繊細なボード付きのアイアンのベットでしたが・・・?」

「あーーだめだめ!鉄製だっていうから丈夫かと思って買ったけど、すーーぐに壊れちゃったもん。デザインはこの際いいからさ。もっと丈夫なのにしてよ!」


鉄製のベットをすぐに壊すアンタの方がおかしい、と思いっきり内心思う店員だったが、それでも長年の販売員としてのプロの笑顔を崩さず気合でお薦めのベットの売り込みにかかる。


「ではこちらのお品はいかがでしょうか?ナサ御用達のメーカーが特別に作りました宇宙船と同じ素材でできているハイテクベットです。材質はチタン合金です。どうですこの近未来的なデザイン!すばらしいお品です」

「ふーーん。いいんじゃない?なかなか丈夫そうで・・・。でもこれシングルじゃん。いくらなんでも狭いよおー。最低ダブルじゃないとー」

「そうでございましたな!勿論この品も特注でキングサイズをお取り寄せ可能でございます。我大●家具は独自のルートでもって最高の品をお客様に・・・」

「で、どのくらい待たなきゃいけないの?」

「はあ、特注でございますので、一月ほどはお待ち頂けませんでしょうか?」

「一月!?長いよ!だめだめ!待てない!俺の可愛い人との熱くて濃ゆい夜が一月もお預けなんてムリムリ!」

「(なんなんだ?この客は?)は?ははぁ、失礼ですがお客様、もしかしてご新婚でいらっしゃいますか?」

「え?わかる?実はそーなのよ。ま、正式な結婚じゃないしあの人をオトしてから3年たっているけどさー、もーまだまだ新婚みたいなもんでねえー。夜なんかもう激しくて激しくて毎晩求められちゃって大変なのよぉーーー」


別にそこまでは聞いてないのだが、カカシは鼻の下をデレデレ伸ばしながら余計なことまで喋りまくってくれる。
今更ながら成る程、と店員は納得がいった。
忍者は普通に就寝していてもベットを壊すことがあると聞くが、熱烈に愛している恋人がいるのなら尚更壊しまくるだろう。
この客は恋人を相当に愛しているに違いない。
もう若くはない店員はベットを壊すまで妻を愛するという夜などもうないが、なかなか微笑ましい話に顔をほころばせた。
(だが、その相手の恋人も相当体力があるのだろうとは予想できるが。でなきゃ普通は死んでいる)


「ではお客様、こちらのベットなど当座のご利用にいかがでしょう?どうです?!この豪華天蓋つきクイーンサイズ円形ベット!なんと電動つきで回転もいたします!奥様との甘い夜の演出にもピッタリでございます!」

「へえーー?回るの?このベット?!酩酊感を出すのはなかなかいいかもネ。でもラブホテルで散々使って飽きちゃったしなあー」

「(散々使ったのかよ?)で、では、こちらのベットはいかがでしょう?豪華革張りベットボードにはサラウンドスピーカーを内臓!寝ながらにして巨大スクリーンで臨場感溢れる映画をご覧頂けます」

「あーーそういうのは別にあんまりねえー。ベットはエッチするのに忙しくて映画なんか見てる暇ないの」

「で、ではこの巨大キングサイズ、その名も『ルイ14世ベット』はいかがでしょう?ロココの装飾が見事なベットはもはや芸術品です。純金製でその頑丈さは折り紙付き!しかもこのベットには王者に相応しく大勢の子宝に恵まれるというご利益が・・」

「ふーん、純金?なかなかいいねえ。絶対壊れなさそうだし。これにしようかなあーーー」


食指を動かしたらしいカカシに店員の瞳が光り、もみ手する手に汗が滲んだ。
やった!このベットが売れれば自分の夏のボーナス査定はアップ確実だ!
しかも目の玉が飛び出る程高いこのベットを売ったとなれば、自分もこの店で昇進確実!
うまくいけば支店長に抜擢されるかもしれない!


「うーーーーん、でも流石に高いねえーーー。××××万両?・・・こりゃちょっと俺のハニーに相談しなきゃダメかもね」

「は、はあ。そうでございますね。お高い買い物ですし・・・・」

「ちょっと奥さんを呼んできますね。おーーい、イルカ先生ーーー!このベットどうですかあぁーーーーー?」


奥さん、来ていたのかよ?!

と驚いて店員が顔を上げるとはるか遠くのキッチン収納置き場で隙間家具を見ていた見た目の凡庸な、そして上から下までどー見ても男、の忍者がこちらに歩いてくるではないか!

店員はあまりのことに目が点、絶句して、手にしていた山程のカタログを取り落としそうになった。



「どーです?イルカ先生、このベットは?なかなか良くありませんか?」

「えええ?イヤですよ。俺はこんなの!だいたいこんなの部屋に入れたら床が抜けちゃいますよ」

「そっかー床の問題がありましたっけ。床の」

「あ、俺、こっちのがいいな。籐製でシンプルで洒落てますよ。夏とか涼しそうだし」

「じゃ、それにしますか。店員さん、これお願いv」

「・・・・・・あ、ありがとうございます」


そしてカカシはゴールドのカードをビシリ!と店員に渡して籐のベットをあっさり購入していった。
配送は今夜中に行う、と店員はにこやかにカカシ達を送り出し、ありがとうございました、と頭を下げた。
だが、一抹の不安が無いわけでもなかった。

店員は思っていた。


あの二人にとって籐のベットでは今夜一晩しかもつまい、と。




the end





23:33 * SSS * TB(-) * CM(-) * Top↑
  ◇ SSS    2007-01-17- Wed.
タイトルがアレなので、一応隠し(笑)
 More...
23:32 * SSS * TB(-) * CM(-) * Top↑
  ◇ SSS●遊びましょ    2007-01-12- Fri.
今夜こそ決める!今夜こそ愛しいイルカを食ってやるぞ!と意気込んで、カカシはイルカを今夜も飲みに誘った。

もう随分前からカカシはイルカに恋焦がれていて、はっきり言ってもう限界だった。
それこそ半年以上前からさりげなく恋心を伝えることから始まって、最近では露骨に関係を迫る所までエスカレートしている。
しかし、敵もさるもの。
カカシの切なくも熱烈なアプローチも、毎日贈られる山ほどの高価な贈り物にもイルカは露ともなびかない。
まあ、そんなイルカの態度もある程度は仕方がないだろうとは思う。
戦場でもあるまいし、平和な里でなんで男同士でくっつかねばならないのか馬鹿馬鹿しい、とカカシだって相手がイルカでなければそう思っただろう。
イルカにしたって男としての沽券もあるだろうし、女の方が好きなのだ。
カカシが木の葉の五本の指に入る手練忍者だろうと、中忍以下の忍者とは比較にならない程の高収入を得ていようと、そんなことは自分に惚れてもらうファクターとしてちっとも有利には働かない。
だから、カカシの口説き文句は自然と実に情けない低レベルなものの羅列に終始してしまう。
例えば、
俺、セックスが凄い上手ですよー、絶対気持ちイイですよー、とか、
俺、なかなかハンサムでしょ?この顔にクラクラこないー?とか。
(自分でも後で冷静になって考えてみると顔から火が出るくらいみっともないことばかり言ってる)
それでも、そんなどうしようもないカカシでもにっこり笑って穏やかに話を聞いてくれるイルカがやっぱり好きなのだ。
イルカを抱き締め、あの柔らかそうな身体に自分の思いのたけの全てを注ぎ込みたい。
イルカの生徒達だけが独占しているあの笑顔と愛情が自分も欲しくてたまらないのだ。

まずはビールをオゴッて、いい具合にイルカが酔っ払い始める。
今夜のイルカは年初めの仕事がようやく片付いたこともあって上機嫌だった。
そして何故だが、自分の中忍に上がったばかりについた任務について楽しそうに話し始めた。
今夜はもしかしたらイケるかもしれない、
下ゴゴロと期待と下半身を高ぶらせながらカカシは表面上は大人しく聞き役に徹した。


・・・中忍になりたての頃、戦場に赴く前に火影様のご配慮で一度北の国の牧場に派遣されたことがあるんです。
ええ、競走馬を専門に飼育する火の国でも名門の部類に入る大牧場ですよ。
それこそ何頭もダービー場を輩出しているような。
勿論俺は大喜びでした。
馬は大好きでしたからねー。
任務内容は冬から春にかけて生まれる高価な子馬の警備、というのが名目でしたが、そんな不埒なことをする輩はいなくて火影様が前線に召集される前に俺にくれた半分休暇のようなものでした。
寒かったですけど、毎朝早起きして馬の世話をしました。
すごい楽しかったです。本当楽しかった。
ねえ、カカシ先生、知ってますか?
よく仲良くなることの例えに「馬が合う」とか言うじゃないですか?
あれ、本当に本当だなーと馬達を見ていてよくわかりましたよ。
競走馬ですから種付けをしますよね?
でも、どーしても相性の合わない馬同士ってのもいるんですよー。
貞操が堅い馬という言い方もおかしいんですが、どんな綺麗な牝馬でも気にいらない子には見向きもしないものなんですよねー。
それでいて、どーしてこの子に、という子ばかり追いかけて交尾してくれ、と必死に追いかけまわしたりして。
その姿がすごく可愛くてねー。
牝馬の方も牡馬を気にいってないワケじゃないのに、これがまたワザと逃げるんですよー。
牧場中をぱっかぱっかと走って逃げ回るんです。
牡の方はもう必死で牝を追い掛け回す。
最初は牝を苛めているようにも見えるんですが、そうじゃないんですよねー。
恋の『追いかけっこ』をしてるんですよね。
そして牝も最後の方になるとワザと追いつかせて牡に捕まるんです。
そして交尾するんですが、その2頭の馬の汗がキラキラお日様の光に反射してそれはそれは美しい光景なんですよー。
あんなに美しく爽やかなセックスもこの世にあるのか、と感動したものです。


はて?イルカ先生はこんな話をして俺を煽っているつもりなのだろうか?
それとも自分もその牝馬のようにわざと逃げているだけだと暗喩しているのだろうか?
心臓をドキドキさせながらも戸惑うカカシに、じゃあ、今夜はそろそろお開きにしましょうか?とイルカはさっさと席を立ち店を出た所でなんと、


「ねえ、カカシ先生。これから俺と『おいかけっこ』して遊びません?」


なんてにっこり笑って言うのだから、心臓が止まりそうになってしまうカカシである。


「・・・そ、それって、捕まえたら犯してもいいってコトですか?」


そう、思わずスゴイ切り返し方をしてしまったカカシにイルカは笑いながら屋根の上をぴょんぴょん飛んでいく。


「さあ?どうでしょう?あはははは」

「ま、まって下さいよ!イルカ先生ー!」


ともかくもカカシも必死になってその後を追う。

勿論上忍である自分が本気で追えば、中忍のイルカなどあっさり捕まえることができけど。

つまり、それって・・・それって、やっぱり・・・?

月明かりに青く反射する木の葉の街の屋根を伝って、イルカはそうこうしている内にどんどん逃げていく。

カカシは長い忍者人生の内でこれ以上ない位チャクラを熱く燃やしてその後を追いかけはじめた。



もしかしたら、二人の間に春には可愛い子馬が生まれるかもしれない。




the end
23:29 * SSS * TB(-) * CM(-) * Top↑
  ◇ 綱手姫様の年末年始・その3    2007-01-08- Mon.

1万両と温泉がかかっている勝負となって、完全に顔色も目の色も(文字通り写輪眼を全開にして)変わっているカカシは要注意ナンバーワンだと綱手は思う。
なにしろさっきから牌を積むメンバーの手元をカカシは写輪眼をグルグル回しながら暗記にかかっているようなのだ!
最近の雀荘はほとんどオートメーション化されいるので手積みなどありえないが、手積み時代伝説の最強雀士のみが出来たという究極の極意「天和」(満貫)を狙っているのかもしれない。
いや、あの写輪眼を持つものなら天和なんぞあっさりと作ってしまいかねない。
実際の戦闘ならば例えカカシ相手だろうが負ける気などしない綱手ではあるが、麻雀となるとそうはいかない。
まさか、カカシの目を一切見ずに、その足さばき・・もとい、手元だけで牌を予想するワケにもいかないだろう。
そんなことを考えながら、綱手は牌を14枚揃えて開いたのだが・・・


「うっ!」


不覚にも思わず唸り声を上げてしまった。
おう、なんと綱手の手元の牌は字牌と風牌がズラリと揃っており、トドメに数牌の1と9までついていた。
いうまでもない、この役は、

国士無双


だ。
綱手の頭からザザザーと一気に血の気がひく。
こんな高い役、自分の人生の中でも滅多にお目にかかれるものではない。
いや、生涯最初で最後かもしれない。
これは新年からとんでもないことになった。今年は幸先がいいかもしれない。(いや、綱手にとってはかえって縁起が悪いのだが)


「・・・綱手様、どうしました?顔が青いですよ?こりゃ相当いい手ですねえ〜〜?」


牌を持ったまま固まってしまった綱手にカカシが写輪眼を輝かせながら鋭く突っ込んでくる。

ぎくぎくぎく!ま、まずい!バレてやがる!


「ベ、別に、そんなワケないじゃないか?私の運の悪さはお前も知っているだろう?」


とりあえず誤魔化して捨牌するが、その手がしっかり震えてしまう綱手である。
なんといっても国士無双、あの国士無双だ!
しかもすでにテンパイ。なにがなんでもここは和了したい!
だが、黙々と牌を捨てていく、カカシの捨牌をチラリと見て綱手はまた驚愕してしまった。

カカシはさっきから万子を一枚も捨てていない!

ま、まさか!まさか、この男!!!

綱手は慌てて牌を確認するが、一萬と九萬というまず真っ先に捨てられる牌がどこにも見当たらない。

ま、まさか、まさか、まさか・・・・カカシはあの、あの、幻の役満、アがった人間は心臓発作でその瞬間に死ぬとまで言われ、その牌は炎で焼かれ二度と使用されないようにまでするという


九連宝灯



を狙っているんじゃないだろうな!!

唖然茫然としながらカカシを見詰める綱手の視線に気づいたカカシは口元だけでニヤリと笑い、次の瞬間、一言、


「リーチ!!」


と高々と叫んで点棒をビシッ!と投げた。

おお、もうリーチか!流石だな!とガイが笑い、イルカはカカシさんスゴイですー!とニコニコのんびり笑っている。
(世紀の役満があがろうかという瞬間なのに、この二人はその凄さがイマイチわかっていないのが何だったが。)

ま、マズイ!今の親はカカシだし、13ハン以上役満のカカシの点数は48000点!ほとんど勝負はあったも同然だ。

正月姫始めを阻止する目的で火影屋敷の警備にひっぱってきたのに、1万両つきの温泉イチャパラをコイツにくれてやることはしたくない!

綱手は冷や汗をかきながらも震える手で牌を積む。

大丈夫だ、落ち着け、落ち着くんだ、綱手。お前だって国士無双のテンパイなんだぞ。
カカシの手はわかっている。萬子を捨てなければいいだけだ。冷静に冷静に。

だが、次の瞬間、よせばいいのに綱手はふ、とイルカの捨て牌を見てしまったのだ。

そして、またもや驚愕した!索子が一枚も無い!!!

ま、まさか、イルカの狙いは


緑一色


か?!!!

(確かに麻雀素人のイルカが好きそうな役である。見た目もなかなか綺麗だし)

そのあまりにも解りやすすぎる捨て牌に唖然茫然としている綱手の横で、手元を覗きつつカカシがイルカと早速イチャつき始める。


「あれえーーーイルカ先生、すんごいいい手じゃないですかぁ〜?すごいなあ〜〜俺、負けちゃいそーー」

「うふふふ。やだぁーー、カカシ先生、見ちゃイヤですぅーー」

「いーじゃないですかぁーー、俺、イルカ先生にならふり込んでもいいなあ〜。俺を昇天させて下さぁ〜〜い、イルカてんてー」

「あん!だめ!ダメですってば!こんな所で。それに昇天する時は二人一緒で、ねvひとりで昇天しちゃうなんてイヤですぅー」

「ああ、イルカ先生!もちろんドコまでも俺達は一緒ですよっ!あなたを置いて俺が先にイくわけないじゃないですかあああ!」

「カカシ先生!嬉しい!」


そしてヒシ!と抱き合う木の葉一のバカップル。


その時、綱手は卓を思いっきりひっくり返してやりたい気持ちをグっとこらえていた。



ブチ切れそうになる頭の血管をピクピクさせながらも念のために、とガイの捨牌も確認する。
が、ガイの捨牌は相変わらず脈絡が全く無い。てんでバラバラに捨てているようなのである。
案外七対子(ニコニコ)でも狙っているのかもしれない。

そして綱手は自分の牌をひいたのだが、


「!!!!!!!」


綱手は今度こそギャアアーー!と叫び出しそうになるのをようやくの思いで堪えた。

引いた牌はなんと、


萬子の七。



なんでこんなモンが来るんだ!今年は天中殺か!という位の思いっきり危ない牌だ!!

真っ青になって冷や汗を流し始めた綱手の様子を見てカカシの写輪眼が不敵に光る!

ど、どうしよう?
どうしたらいいんだろう?

このままではカカシに九連を振り込んでしまう!
一万両と温泉とイチャパラをプレゼントしてしまう!
しかし、かと言って自分も今はテンパイだ。


これぞまさしく絶体絶命!!



綱手はそれでも震える指で七萬を拾い上げる。

えーーーーい!!こうなったら後は野となれ山となれ、のるかそるかだ!
五代目木の葉火影綱手、負けるとわかっている勝負でも、今まで逃げ出したことなどはないっ!!
煮るなり焼くなり好きにしやがれ!
一万両と温泉旅行、もってけドロボー!!!

そして、綱手は実に漢らしく、ビシッ!!と七萬牌を卓に叩きつけ、その瞬間、



「ローーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!」


「「「へ?」」」


高らかに和了を告げた人物はカカシではなく、なんと、ガイ、だった。

カカシも、イルカも、目が点、のままあまりのことに固まっている。

(たぶんカカシのロンだったろうが、風はガイの方が先である)


「が、ガイ?お前・・・テンパイだったのかい?」


綱手がおそるおそる確かめるとガイはハハハハ!と笑いながら牌をさらした、その役は何と、



ただの平和。




「いやああーー、皆すんごいいい牌をビシバシ捨ててくれるからあっさり役が作れたぞ!アハハハハ!皆麻雀がヘタクソだなああーー!!さては素人だな、アハハハハ!!!」




脱力、なんてもんじゃない、3トンの象を肩に乗せられたような疲れがドドド!と綱手を襲った。
そんなガイという天災の被害は綱手だけを襲ったわけではないらしく、カカシはあおむけにひっくり返ったまま写輪眼をグルグルさせたまま気絶。
イルカも卓に突っ伏したままヒクヒク全身を痙攣させながら失神している。


恐るべし!マイト=ガイ!

さすが木の葉最強忍者マイト=ガイ!

誰もかなわないぞ、マイト=ガイ!

正義は常に君と共にある!マイト=ガイ!



ともかくも賞金一万両と温泉旅行はガイが見事ゲットし、愛弟子のリー君を連れてガイは笑顔で修行地へと年明け旅立っていったのであった。




***



そして正月、1月1日。

綱手はバッチリ化粧を決めて正装の上で木の葉神社に新年の初参拝に繰り出した。
里在中の木の葉忍者全員強制参加の最重要行事の一つである。
白い豊かな胸もあらわに見る者に眼福な綱手を先頭に、いかつい木の葉忍者の男ども数百人を引き連れて参拝する姿は正に圧巻、極道の妻達の岩下志麻さながらの壮観な眺めでもあった。
(そして何故か木の葉のおじいちゃん達の中には神様ではなく、そんな綱手の胸に手を合わせて「ありがたやー」と祈る者もいる)


かしわ手を打ち、儀式のお神酒を飲み干して今年一年の武勇を祈った後、綱手はふと今年は「おみくじ」でも引いてみようかという気になった。
しかし、結果はいつもの通りといえばいつもの通り、
綱手のおみくじは「末吉」だった。


「シズネ、お前はどうだったんだい?」

「中吉です、綱手様」

「まーーこんなもんだろ。私もお前も大吉などかえって不吉だからねえー」

「うふふふ。そうですね。今年もよろしくお願いいたします、綱手様」

「ああ、そうだね、今年もよろしくたのむよ」


だが、そんな綱手の背後から、また、例のあの馬鹿ップルのイチャつく声が聞こえてきたのだった!



「カカシ先生!見て!見て!俺、大吉でしたぁーー!」

「よかったですね!イルカ先生!俺も大吉ですよ!」

「うわああ!良かった!カカシ先生、健康運!健康の所を見て下さい!今年は大丈夫ですか?去年は散々でしたし」

「大丈夫ですよ。ほら、心身壮健、健康この上なし。ですって!」

「うわあ、よかったぁーー」

「イルカ先生はアソコを確認しなきゃね。今年こそアレですよ」

「はあ?アレって何です?」

「『お産』の所を見なきゃ!今年こそ俺、イルカ先生との間に赤ちゃんが欲しいですぅーーーー!!!」

「いやだ、カカシ先生たらっ!うふ、子宝授かる、って書いてますよーー」




ビシッ!



その瞬間、綱手の中の何かが完全に壊れた。

どーせ、私は待ち人来ず、失せ物現れず、婚姻流れて、商談まとまらずだよおおおお!!!!!



「もおおおおお!!我慢できん!!アイツら絶対ぶっ殺すうううーーー!!!!!!!」



「ぎゃああああ!!!つ、綱手様!落ち着いて!落ち着いてくださいいいいいい!!!!(気持ちはわかりますけどぉ)」



そして綱手は神社の全長20メートルはある石の鳥居を引っこ抜き、カカシとイルカめがけて思いっきり振り下ろしたのであった。
当然、間一髪でカカシとイルカは逃げ、木の葉神社は鳥居を受けて粉微塵に崩壊!

木の葉の里は綱手の所為でゴジラが上陸した東京のような壊滅状態で新年のめでたい朝を迎えたのであった。








今年もよろしくお願いいたします!

19:40 * SSS * TB(-) * CM(-) * Top↑
  ◇ 綱手姫様の年末年始・その2    2007-01-05- Fri.
紅白歌合戦のどこまでも華やかな、それでいてやはり細部まで計算づくの予定調和的エンディングが終わると、「ゆく年くる年」の寺の重い鐘の音がゴゴーーンとテレビから響く。
この音を聞くと綱手は「ああ、今年も生き延びてしまったな」としみじみ思うのだ。
紅白の今年の司会の中居クンはなかなか無難でソツのない司会をしていたし、今年の歌は少し懐古趣味に走っていないきらいもなかったがまずまずだったと思う。
だが、どんなに素晴らしい心打つ音楽もこの鐘の音にはかなわないと思う。

「今年も終わるねえ〜〜シズネ・・・」

「はい、綱手様・・・・・」

火影執務室横の仮眠用の和室に炬燵とテレビを持ち込んで、綱手はシズネと一緒におせちをつまみ、酒を飲みつつぼんやりテレビを見ていた。
といっても実はついさっきまでやっぱりお約束のように喉にモチを詰まらせた爺さんの治療をしていて、ようやく開放されたばかりである。
(治療、といっても爺さんの喉に掃除機のホースを突っ込んで餅を吸い上げただけだが)
綱手もシズネも次々と担ぎこまれてくる病人への対応に追われて完全にクタクタだった。
まあ、医療関係者の正月なんてこんなものだ。
いつもの正月といえばこれもいつもの正月。

「今年も又お前と年を越すことになりそうだねえ・・・・今年一年ご苦労さん。お前には本当に感謝しているよ」

「イヤですよ、綱手様。何を今更なことをおっしゃっているんですぅ〜〜?」

「いや、本当にそう思ってる。私の所為でお前はろくろく遊ぶことも、恋人を作る時間もなく・・・いい歳の若い娘らしい思いなどちっともさせてやれなかった。私のつき人がイヤならいつでも辞めていいんだよ?お前だってしたいことのひとつくらいあるんだろう?」

「もーー!何をおっしゃっているんです?綱手様。私がいつ綱手様のつき人を辞めたいなどと言いました?私は昔も今もこれからもずっと木の葉五代目火影綱手様のつき人ですし、これからも死ぬまでつき人です。生涯死ぬまでお側を離れません。それが死んだ私の叔父、ダンの遺志でもあり、私の意思でもあります」

「し、シズネ・・・・ありがとうぉおお!!」

「綱手様!!!」


そして感極まった女二人はヒッシとかたくかたく抱き合う。
なんとすばらしい女同士の友情!深い師弟愛であろうか!
(が、非常に感動的ではあるがちょっとサムい光景でもあった)


「ところでシズネ、国境からの定時報告は来ているかい?今の所襲撃の恐れはないな?」

「はい。国境の警備忍からの報告によると異常はありません。油断は勿論禁物ですが」

「よし、国境の警備忍にはあとでたっぷり休暇をやると労っておくように。正月に任務ってのは思った以上に辛くて侘しいものだからね」

「はい。それは勿論」

「それと・・・・・紅の様子はどうだい?」

「はい・・・特別中忍のアンコさんにずっとついていてもらってますので心配はないかと思いますが・・・・・」

「そうか。紅には辛い正月だね。後で私も様子を見にいこう。今の紅の気持ちがわかるのは私くらいのものだろうしね」

「綱手様・・・・・」

「30すぎて男に死なれるのはキツいな・・・・・・ましてやクリスマスや正月を一人で過ごすなんて地獄だ。忍者を愛した女の宿命とはいえ、可哀想にな・・・」

「はい・・・・」


そうなのだ。紅や綱手の味わってきた地獄に比べれば自分は何なのだ、とシズネは思う。
そして改めてこんな時にでも紅を気づかう綱手の優しさに感動するシズネだった。
やっぱりシズネの火影は素晴らしい人だ、と。


「ああ、湿っぽい話になっちまったねえ〜〜せっかくの正月なんだからこうパアーーっとしたことでもしようかね?これから夜明けの初参拝まで暇なんだし!」

「は?パア!っとしたことですか?例えばどんな?」

「正月といえばアレに決まっているだろう?!アレだよ!アレをするんだよ!」

「はあ?アレ?とは何ですか?」

「正月といえば、正月麻雀をするに決まっているだろう!」



途端、ガクッ!と炬燵から滑り落ちるシズネ。

正月麻雀ーーーーー????!!!

ダメだ!やはり綱手様は綱手様だった!

立派な人だとか、やはり腐っても火影様だとかさっき思ったことは全部取り消しーーーーーッ!!!


「シズネ!さっそく面子を集めろ!誰でもいいから男三人引っ張ってこい!」

「は?し、しかし、今頃皆家で一番ゆっくりしている時間帯ですよ?!今ごろになって麻雀に付き合えといってもそれはあまりにもご無体な話では?」

「だああああ!じゃあ火影屋敷の警備忍を引っ張って来い!そうだ、カカシとイルカが居ただろう?ヤツらでいい!」

「は?はあ?で、でもはたけ上忍とうみの中忍は今夜は火影屋敷の吹きさらしの寒い屋根のてっぺんで一晩中寝ずの警備をさせるという嫌がらせを命じたのは綱手様だったんでは?」

「いいんだ、ヤツらを引っ張ってこい!アイツラのことだ、例え火影屋敷の屋根のてっぺんだろうと年明けと当時に姫はじめでイチャつきかねん!とっととこっちに拉致ってこい!」

「は、はあ、ではあと一人は?」

「誰でもいい、その辺歩いているヤツを火影命令で連れてこい!」

「ああ、もう相変わらず無茶苦茶な方なんだからあーー・・・わかりました。わかりましたよ、もぉおお〜〜」



***


そして、シズネは麻雀の面子を三人連れてきた。

面子はカカシ、イルカ、そして何故かガイ、である。

しかし、さっきまで警備任務についていた筈のイルカの頬が赤いし、髪もやけに乱れている。
忍服もやや乱れていて、イルカはそれを必死で整えながら綱手の部屋に入ってきた。
一方のカカシは非常に不機嫌な様子でさっきからムッツリと黙りこくっている。
・・・こ、コイツラ、本当に火影屋敷の屋根の上で姫はじめをするつもりだったのかよ?
と綱手は頭を抱えた。
一方のガイは正月しょっぱなから非常に元気でさっそく新年の挨拶をきっちりと綱手に清清しく丁寧に行った。
何故シズネに捕まったのか聞くと、新年開始と共に今年最初の修行を開始する所をシズネに声をかけられたという。


「まあ、いい、とにかく麻雀だ!麻雀するぞ!」


炬燵の板をひっくり返して、緑のフェルトの上に麻雀パイを積んでいく。
何で新年しょっぱなからマージャンしなきゃならないの?もっと楽しいコトする筈だったにーと超不機嫌なままのカカシと、
うわーマージャンなんで久しぶりですー役覚えているかなー?と結構楽しそうなイルカと、
カカシ!いざ尋常に勝負だああ!と早速熱血するガイとで卓を囲む。
まずはオーラス、綱手が親で一巡したのだが、だが、どーにも盛り上がらない勝負になってしまった。
カカシはブチブチと文句を言いつつどーでもいい投げやりな態度そのままにテキトーを牌を捨てているだけだし、
スールのイマイチわかっていないイルカは麻雀の解説書片手に次は国士無双に挑戦してみようかなーと無邪気に笑っているし、
ガイといえばガイで捨て牌に全く脈絡というものがなく何の役を狙っているのかさっぱりわからない。
(あるいは何にも狙っていないのかもしれない)
シズネ・・・お前もうちょっと何とかなるメンバーを選べなかったのかい?
と綱手は思ったが、シズネは疲れていたのか、座布団を枕にストーブの前でスヤスヤととっくに眠ってしまっている。

「シケてるねえ〜〜〜もうちょっとちゃんとした勝負にならないのかい?そうだ、私に勝ったらボーナスをやろう。正月に付き合ってくれたのだし、最後に勝ったものには金一万両、私のポケットまねーから出してあげるよ。正月開けの長期休暇もつけやる。その金で温泉にでもいけばいいよ」


1万両!しかも温泉つき!

という綱手の発言にカカシ、イルカ、ガイの顔色が一斉に変わった!


「ご、五代目!それは本当ですか!1万両ボーナスの上、温泉つき休暇ってのは!嘘じゃないでしょうね!!火影の名に誓って本当ですよね!」

カカシがガバリ!と立ち上がり、何故か写輪眼まで全開にして綱手に迫ってくる。

「も、もちろん本当だとも!火影に二言はないよ!」

カカシのその勢いにちょっとダジダジしながら必死で首を縦に振る綱手である。


「一万両でもって豪華温泉五拍六日しっぽりと毎日朝昼晩とイルカ先生とイチャパラし放題・・・・ああ、天国だ!ヤル!俺はヤルぞおお!絶対勝ぁああつっ!!!!」


何故かカカシの瞳が炎と燃えている。
思いっきり不純な動機ながらカカシはどうやらその気になったようだ。
イルカもポっと頬を染めつつ、ソレちょっといいかもーーなんてのたまっている。
ガイはガイで、ふむ、確か××温泉の××の滝は修行には格好の場だったな、などとも言っている。
そして、改めて燃え上がる一同のチャクラ!
木の葉忍者最強を誇る4人がこんなに闘争心に燃えあがり、一体化したことが過去あっただろうか?(いや、ない)
(本当にこれでいいのか?木の葉!)

そして、1万両の温泉旅行のかかった真の真剣勝負の幕が今、まさに落とされようとしていたのだった!





■その3へつづく

正月といえば麻雀!笑



18:45 * SSS * TB(-) * CM(-) * Top↑
  ◇ 綱手姫様の年末年始・その1    2007-01-02- Tue.
●綱手姫様の年末年始その1



12月24日、その日は木の葉五代目火影綱手にとって『クリスマスイブ』 ではない。
はっきし言ってクリスマスなんぞ、どーでもいい。
綱手にとって、24日かといえば、アレしかない。
そう、有馬記念の日である。


「ううううう〜〜〜!!!ディープインパクトオぉぉぉ!!!感動をありがとおおおおーーーーー!!」


滂沱の涙を流し、今日もぶっちぎりの一等賞をとった空飛ぶ名馬の雄姿にテレビにかじりついている綱手の背後から、
つめたーーーい、シズネの視線が突き刺さる。


「綱手様・・・・クリスマスだというのに又競馬ですか?」

「何を言う!今年の有馬記念はディープの引退試合だったんだぞ!もう二度とディープの走る姿を見られないんだぞ!」

「何が二度と見られない、ですか?どーせその内仕事をサボって北の道の国の牧場まで馬を見に行くつもりなクセに」

「(ぎくぎく!)な、なんでわかるんだ?シズネ(^^;)」

「わかるに決まってるでしょう!年末なんだから自分の日ごろの行い少しは省みて下さい!おまけに今日のディープは単勝オッズ1.0倍、100円買ったら100円しかリターンがこない必勝馬券の筈なのに、綱手様はどーーーして外すことができるんですか?他の馬が勝てる筈がないのに、スルなんてアホじゃないですか?」

「うううっ!だ、だって!大穴があるかと思ったんだもん!」

「その大穴を綱手様が当てたことがありますか!!大穴を空けてそこにハマったことなら死ぬ程何度もありますけどね!さあさあ、もうテレビを消して!とっとと仕事にとりかかりますよ!」

「うううう、はーーい」


こういっては何だが、クリスマスを含む年末年始の火影職は死ぬほど忙しい。
イブの綱手のこれからの予定も、木の葉の児童養護施設のクリスマス会に参加し子ども達へプレゼントを配った後、夜は木の葉のお偉方主催のクリスマス会で酒を飲みつつ、エロジジイ共の相手をしなくてはならない。
クリスマスでさえ家に帰れず親にも会えない子ども達の健気な少し寂しそうな笑顔を見ているだけでも気鬱なのに、その後脂ぎった魑魅魍魎のおやじ達の金と欲と権力にまみれた政治的かけひきをしなくてはならないかと思うと何が清らかなクリスマスだ!キリストが泣いているぞ!と綱手は思う。
まーーったくこれだから火影なんてもんにはなるもんじゃない!
自来也が必死になって逃げ出していたのも実にわかるというものだ。
他にも得意先への年賀状、年始の挨拶をかねた火影自らのセールスと営業もしなくてはならないし、年明けには大々的に木の葉神社に一年の無事と木の葉繁栄を祈って正装でお参りにいかねばならないし、ガキどもにお年玉を配らねばならなし、ついでに年末年始のどさくさに混ぎれて襲撃しようとしてくる不埒な輩の対策も練らねばならないし、さらにお約束のように喉に餅をつまらせて綱手の元にかつぎこまれてくる患者もいるのだからもーー死にそうだ。
こんなに忙しいのだ、ちょっとくらい可愛いお馬さんを見て現実逃避ぐらいしたっていいだろう、と思う。
仕方なしに綱手は今日中の決済をまっている書類の山へと立ち向かう。
秘書役のシズネももう2日、まともに寝ていないので、目の下にクマもできているし、化粧すらしていない。髪もボサボサだ。
綱手は、そんなシズネの姿にふと、疑問に思った。


「おい、シズネ・・・・」

「はい!何ですか?綱手様!」

「そういやあーー今日はクリスマスイブだけどね・・・・お前、これから予定は無いのかい?お前だってもう結構いい歳だろうに色っぽい話の一つもないのかい?」



ピシッ!!!!


瞬間走った鋭い緊張感と稲妻のようなチャクラに綱手の背後の窓ガラスが何と割れていた。


「ひいいいいいいーーーーーー!!!!し、シズネ???ど、どうしたんだい??」

「どうもこうもありません・・・・・ふふふふ・・・・・綱手様がそれをおっしゃりますか?・・・・・ふふふふ・・・・」


そして次の瞬間、暗く笑うシズネの腕と太腿に仕込まれていた小刀がドドドド!と綱手の頬を掠め、椅子の背に突き刺さっていた。


「し、シズネ!お、落ち着け!!!」

「うっ!うっ!うっ!わ、わたしだって!私にだってクリスマスを一緒に過ごさないか・・・うんぬうかんぬんのそれっぽいお誘いがなかったわけじゃないんです!!そんなお話をぜーーーんぶ断らざるを得なかったのは、他ならぬ綱手様!!あなたが全ーーー然仕事をしないからでしょおおおおおーーー!!!私の青春はそうやって常に綱手様に浪費されてきたんですよお!もーーーーー我慢できないいいいーーーー!!!殺してやるううううーーーー!!」

「ぎゃあああああああああ!シズネ!落ち着け!シズネぇ!!!!」



別に自分がモテないのは綱手の仕事が遅い所為だけではなかろう、とは思うのだが、連日の過労もピークだった上にプッツン切れたシズネを誰も止められない。
綱手は火影執務室の中を必死で逃げ回り、ただでさえぐちゃぐちゃの執務室は更にぐちゃぐちゃ、
とーーぜん、仕事になど全然ならず、溜まった仕事は更に溜まっていくのであった。


***


ともかくも、なんだかんだで綱手はクリスマス会にでかけるために街へ出た。
街行く人は皆笑顔で幸せそうである。
今年も不景気だったが、大きな戦争などもなかった。
そんな人々の笑顔を見て少しだけホっとする綱手はやはり腐っても火影だった。


「あ!綱手様!あれ、あれ」

「おや?カカシとイルカじゃないか?」


シズネが指さしたので、綱手もすぐにわかったが、商店街のクリスマス特売の福引の前にカカシとイルカが立っている。
二人で年末の買い物に出たのだろう、福引のガラガラを回しているのはカカシである。
だが、


「はーーーーい!白!白玉7等!!残念だねエーー忍者の兄ちゃん!はい、7等賞品のテッシュ大当たり〜〜〜!」

「うううう!10回も引いたのに全部テッシュなの?洗剤すらもあたんないの?」

「あははは。カカシ先生、くじ運本当に無いですねえーー」


どうやらカカシはことごとくクジを外しまくったらしい。(綱手並の運のなさである)


「スミマセン、イルカ先生。一等の高級温泉お正月二泊三日を狙ったんですが」

「ふふふ・・・いいんですよ。温泉なんて、どうせ任務で行けないんですし、俺はカカシ先生と一緒にいられるだけで幸せですもん」

「い、イルカ先生!俺も世界一しあわせでーーーーす!!!」


そして二人は一目も憚らず天下の往来でひっし、と抱き合う。
商店街のオヤジがそんな二人を口笛ではやし立て、いやーー若いもんはいいいねえーなどとのたまっている。

そんな光景を見て、ビシリ、と頭の血管が切れたのが綱手である。

な、なんなんだありゃあーーーー!!

こーーんないい女二人がクリスマスに仕事で走りまわっているというのに、この里では男同士でイチャついてやがるううう!!



「・・・・シズネ。今年の年末年始のカカシとイルカの予定は?」

「は?はたけ上忍とうみの中忍ですか?ええと、今年は年末年始とも長期の休暇が・・・といっても5日だけですが・・」

「その休暇返上させろ。年末年始は二人とも火影屋敷の警備だ!」

「は?し、しかし、はたけ上忍は昨年は入院していて・・・今年はゆっくりさせてやるかと綱手様が直々にそうおっしゃったのでは?」

「うるさい!火影屋敷の警備をさせろといったらさせろ!私は火影だぞ!火影の命令は絶対だ!」

「そんなの思いっきり職権乱用じゃないですかああーーーー」


が、シズネもふとその時、イチャつくカカシとイルカの会話と聞いてしまったのだ。


「うふふふ。でもテッシュで嬉しかったですー。だってもう無いから買わなきゃと思っていたしー。誰かさんのお陰で消費が激しいからー」


などとのたまうイルカに、カカシは、


「当然!10コじゃ足りませんよ!一晩で使いきっちゃいますねー!ふふふふ、ねえーー?サンタイルカ先生、今夜は俺にプレゼントくれるんでしょう〜??俺、サンタさん自身がいいなあ〜〜」

「やだ!カカシ先生たらvうふふふ、それはいい子にしてたらね。もしかしたら今夜はデキるかもれませんよ?た・の・し・みにしていて下さいねv」


ブチリ!!!


とシズネの血管のぶち切れる音が綱手にも聞こえた。

なんなんだ!!!なんなんだあいつらはああああーーーーー!!!!今夜はお約束のクリスマスプレイかよ!!!サンタさんとトナカイさんかよ?ええ?!!



「・・・・・・綱手様」

「・・・・・・何だい?シズネ?」

「・・・・・・年末年始の火影屋敷の警備。あの二人にやっていただきましょう。これも里の安全保全の為です!・・・・私、早速辞令を書きます」

「よし!書け!書け!書いてあの年中脳内クリスマスイチャパラプレイ馬鹿っぷるに突きつけてやれ!」

「了解!」



そしてクリスマスに寂しい一人寝をかこつ女二人の醜い嫉妬と陰謀によって、カカシとイルカの年末年始の姫はじめイチャパラはお預け、とされてしまったのであった。

カカシとイルカは年初めから火影警備の任務につくことになるのだが、それが今年最初の大騒動の始まりになるとはこの日誕生日のイエス=キリストさえご存知なかったであろう。




その2へつづく



18:09 * SSS * TB(-) * CM(-) * Top↑
  ◇ SSS 白金の姫    2006-12-16- Sat.
※サクイル父←四代目SSSです。


「いやあーー、素晴らしいご接待、誠に感謝しております。しかし、白金の国の大名殿・・・そろそろ仕事の話に入りたいのですが・・・」


そして、注連縄は山と盛られた山海の珍味と絶品の酒を退け、大名ににっこりと笑って切り出した。
だが、敵もさるもの。
小太りの一見人のよさげな白金の国の大名はその血色のよい顔をツヤツヤ輝かせながらなおも注連縄に酒をすすめてくる。

「まあまあまあまあ、今は仕事の話など良いではありませぬかぁー!さささ、どんどん御酒を召されよ。いやあ、木の葉の三代目とは長いお付きあいですが、三代目も良い後継者をもたれましたなあー。四代目は歴代最強というお噂も高い!木の葉もこれで安泰間違いなしですなあーー!」


見え見えのお世辞ににっこりと笑いながらも注連縄は「この狸ジジイが!」と、大名の太りすぎの腹をクナイでかっさばく妄想を浮かべて己の腹立ちを慰めていた。

白金の国は豊かな国である。
山岳地帯が国土の8割を占める厳しい環境ながら、その山から文字通りプラチナが豊富に産出されるため、代々この国は栄え国民の生活水準も高い。
だが、豊かで資源が豊富、ということはつまり近隣諸国からの狙われつづけているということでもあり、この国も何千年もの戦争と侵略と謀略の歴史で彩られている。
その国の長ともなれば、それはそれは一筋縄ではいかない狸や狐ばかりになるのは仕方がない。
(金持ちは性格が悪くなければそもそも金持ちにはなれない)
そんな白金の大名を前に流石の注連縄も苦戦していた。
最近近隣諸国の軍事力の強化が著しく、脅威を感じた白金の国だが、木の葉への軍事協力を依頼してきたものの報奨金について具体的な金額を提示してこないのだ。
何だかんだちんたらと理由をつけて、金についての話を避けてくる。
白金の国からの依頼は魅力的である。なにせ世界一の豊かな国家からの依頼だ。喉から手が出るほど仕事は欲しい。
だが、このまま白金の腹黒の狸の牛歩戦術にはまって貴重な木の葉忍者の戦力を安く買いたたかれることは避けたい。
せめて、白金の国が最低限どれだけの戦力を欲しているのかさえわかれば、木の葉にとっても有利な交渉のカードを得られるのだが、その肝心な所をこの海千山千の大名はちらりとも提示してこない。
業を煮やした三代目がついに四代目候補である注連縄を直々に白金の国に交渉役として派遣したのである。
ちなみにおつきははたけサクモ上忍一人である。
サクモは静かに注連縄の横に座って注連縄と大名の狐と狸のばかしあいを楽しそうにニコニコ笑いながら見守っている。


「さてさて、男のむさくるしい顔ばかり見ているから場が白けましたな!ここで綺麗どころを呼びましょうか!さあ、入っておいでーー!」

「「「あいいいーーーー」」」

大名がパンパン!とかしわ手を打つと、座敷にきらびやかな衣装をまとった花魁達が10人ほど入ってきた。
その美しさといったら流石世界一裕福な国の花魁だ。
まさしく金銀のごとく輝いている!

「「おおおおお!!!!」」

注連縄もサクモも仕事を完全に忘れ、思わず身を乗り出す。

「どーーです!この美しさ!わが国の女達は美しゅうございますでしょう〜?」

「本当に!すばらしいですね!」

「ふふふ、お気に召して頂けたようでこちらも嬉しいです。・・・・気に入った子がいましたらこの後御閨にお召しになることもできますよ・・・?ええ、もちろん、そちらのお付きの方も好きな子をお選びになって・・・」

大名が小声でいかにも好色そうに注連縄とサクモに囁く。
すると、二人は勿論その提案に飛びついた。


「「そうですか!じゃ、俺はあの子がいい!!!」」


注連縄とサクモが指さしたのは、花魁達の中でも隅に居た一際地味な感じのそう美人ではない芸妓。
自分が指名されたと知って、その芸妓は恥ずかしそうに頬を染め、花魁達の影に隠れてしまう。


「は?あの子がいいのですか?・・・こういっては何ですが、まあ、なんかパッ、としない子ですなあ〜」

「人の趣味はそれぞれですよ。俺、絶対あの子がいいです!あの子、この後俺の部屋に呼んで下さい!」

「おい、注連縄!俺だってあの子がいいんだ!お前他の子にしろよ!ここは先輩に譲れ!」

「こういうことに先輩後輩は関係ありませんよ。それよりいーのかなー?奥さんに言いつけちゃいますよ?サクモさんもう妻帯者のくせに」

「煩い!こういうチャンスでもなけりゃ、おおっぴらに浮気するチャンスもねえんだよ!花の独身男に俺の気持ちがわかるもんか!」

「まあまあ、そう喧嘩なさらずにーー」


注連縄とサクモの険悪な雰囲気に大名の方がオロオロとしてしまう。


「どーしてもあの子を譲る気はないんだな・・・?」

「ありませんね・・・」

「仕方無い。お前とだはやりあいたくはなかったが・・・・」

「ふふふ・・・・俺もですよ。あなたを敵には回したくありませんが、仕方ありませんね・・・・あの子は俺がもらいます」


注連縄とサクモの間に火花が散り、二人はとうとう立ち上がる。
そして、間をつめて、手を背後に回して互いに印の構えをとりはじめ・・・
忍者同士の一瞬即発の危機に大名がその場から逃げ出そうとした、その時!



「「最初はグー!!」」


ばばば!と出した二人の手はしっかりとグー、だった。


「は?」


「「じゃんけん、ポンっーーーー!!」」



唖然とする大名の丸い顔の前で繰り出した注連縄の手はグー、サクモはパー、だった。

サクモの勝ちである。



***


そして、その夜のサクモの閨。

かの地味な芸妓がサクモの部屋に忍んできた。
だが、夜のほのかな明かりに照らされた地味そうな芸妓はなかなか清楚な色気をかもし出しており、注連縄とサクモが実はめきき中のめききだったことがわかる。


「・・・今宵の敵娼の白波でありんす。ご指名ありがとうございやす」

「ああ、来たか、入って」


夜着に着替えたサクモはリラックスして楽しそうだったが、白波を抱き寄せもせず、その場に正座したかと思うといきなり、


「じゃ、早速だけど、仕事の話に入ろうか?」

「は?仕事?」

「もう芝居はいいから変化をとけよ、うみの。結界もはったから誰も見てない」


すると、ドロン、と煙がたちこめ、そこにはいつものうみのクジラのムサイ男の姿があった。


「なんだ?お前、わかってたのか?はたけ」

「当たり前だろ。一目でお前だってわかったさ。で、白金の国が必要としている戦力はどの程度だ?ちゃんと調べたんだろう?」

「・・・・腕利きの精鋭が欲しいみたいだ。できれば暗部を。5小隊ほど」

「それだけでいいのか?」

「本格的な戦争状態にはしたくないみたいなんだ。隣国の首長の暗殺でカタをつけたいらしい」

「了解!よくやったな!これで注連縄に有利な交渉のカードがきれる。んじゃ、もう帰っていいぞ、うみの」

「か、帰れ?・・・今すぐか?!」

「何だよ?だってもう用はないだろーが」

「・・・・・・・・馬鹿・・・・・・・・」

「はあああ?何だって?」

「はたけサクモの馬鹿ぁあああああーーーーーー!!!!!」



そして、クジラはそう叫びつつ忍者の姿のままで泣きながら部屋を出ていくのであった。



「???何だ???うみののヤツ?俺、何にもしてないのに???」



***



結局、うみのクジラはそのまま注連縄の部屋に押しかけて、その膝にしがみついてシクシク泣きつづけた。


「クジラさーーーん、そんなに泣かないでーーー。別にクジラさんに魅力が無かったワケじゃないですからぁ、とっても綺麗でしたよーー」

「だって!だって!帰れって!あんなそっけなく!俺がどんなに苦労してこの情報を手にしたか全然!」

「はいはい、代わりに俺がねぎらってあげますから・・大変だったですよね。よく頑張りました」

「うわーーーん!注連縄!あの大名の口が臭かったんだよおお!!!」

「はいはいはい、俺の口は匂いませんから。はい、キスしてあげますから。機嫌なおして、ね」


そして、注連縄はクジラに優しくキスしてからそっと寝床に押し倒す。

まったく、はたけサクモさんときたら、クジラさんを苛めるにも程がある。

せっかくワザと負けてあげたのにさぁー、なんて考えながら。








the end
23:13 * SSS * TB(-) * CM(-) * Top↑
  ◇ 火の花    2006-12-11- Mon.
その夜、帰ってきたカカシは何と花束持参だった。

「あの・・・任務先で非常に珍しい花を見つけましたので、イルカ先生に差し上げたいな、と思いまして・・・」

カカシは耳まで真っ赤にしてイルカにその花束を差し出した。
カカシと付き合って随分たつが花なんか貰ったのは初めてだし、勿論嬉しいのだが、その花はどーにも地味な茶色い花で匂いもほとんどない。
まあ、珍しい花であることは確かだし、カカシの気持ちが嬉しかったのでイルカはにっこりと笑って礼を言った。

「ありがとうございます。じゃ、早速花瓶にいけますね」

「ああ、ちょっと待って!イルカ先生!」

だが、カカシはイルカを引きとめ、なんと印を切り始めた。
辰の印はしかも火遁である。

「ええっ?!」

何を思ったかカカシはイルカの抱えているその花に火を吹きかけるではないか!
しかし次の瞬間、なんと花がたちまち燃え上がり真っ赤に輝いたかと思うと、世にも芳しい匂いまで放ちはじめたのだから吃驚だ。

「あははは。どうですーー?凄いでしょ?この花、火をつけると燃えるんですよ?しかも匂いまでするんだ」

「凄いです!こんな花初めてだ!」

「ウフフ。この花を見た時絶対イルカ先生にあげたい、と思ったんです。愛してます、イルカ先生!俺のイルカ先生への愛はこの花のようにいつも炎のごとく燃えています」

「か、カカシ先生・・・」


ロマンチックな燃える花のプレゼントと演出に流石のイルカも感激でウルウルと瞳を潤わせ・・・

「俺も火のように愛してます!カカシ先生!」

その夜、カカシは目論見通りイルカとイチャパラな熱い夜に持ち込むことに成功したそうな。


the end

※燃える花は実在します。が、師走で毎日死ぬ程働いている皆様、遠慮はいりません。盛大にバカヤローと罵ってやって下さい(笑)

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